成人の排泄障害を改善するには

あなたは、笑ったり、咳やくしゃみをしたり、重い物を持った時などに尿や便が漏れてしまった事はありませんか?尿意や便意を感じてトイレに行こうとしたけど間に合わなかった事はありませんか?用を足し終わったのに立ち上がったらまた出たり、下着に尿や便がついてしまった事はありませんか?これは排泄障害(incontinence インコンチネンス)といわれるものです。排泄場所まで尿や便を意図的に我慢できない状態のことで、中年や高齢の女性の4人に1人、また60歳以上の男性の15%が、この排泄障害を経験しています。これは150万人以上のカナダ人に排泄障害があることになります。

排泄障害は加齢による自然現象と思われていますが、実際はそうではありません。排泄障害の80%は治療可能で、残りの20%も確実に改善することができます。排泄抑制は、尿意・便意を正常に感じ取れる事で、確実にトイレまで我慢でき、トイレでは全部出し切れる状態の事です。

ここでは、排泄障害の基本的な情報と自分で試せる改善方法を幾つかご紹介していきます。とは言っても、まず最初にしなければならない最も大切な事は、排泄障害の専門医を受診し、ケアを行っていくことです。

排泄障害の原因を探る時に最初に検討するのは、脳、脊髄、膀胱、腸や筋肉が正常に機能しているかどうかを確認することです。尿失禁や便失禁は骨盤底筋の筋力低下が原因で、臓器、尿道、大腸などを支えられないことで起こっている可能性があります。出産や慢性の便秘で骨盤底筋が伸びて緩んでいる可能性もあります。 閉経もこの筋肉層や開口部に影響を及ぼし、膀胱や子宮が下がったり(膀胱脱、子宮脱)、排尿や排便に支障をきたし全部出しきれなくなる為、頻繁にトイレに行かなければならなくなります。また男性の前立腺肥大でも同じ事が起こります。加齢によって、尿の濃縮を施すホルモンの生成が自然に減少する為、夜間頻尿(夜中に2回以上トイレに起きる事)も起こります。

膀胱の収縮を刺激したり、我慢できない程の尿意や便意をもよおす要因があると、結果的に頻繁にトイレに行く必要が出てきます。こうした要因には、水分の摂取不足、コーヒー、紅茶、アルコール、炭酸飲料など膀胱を刺激する飲み物も含まれます。また膀胱の感染症も排尿障害の一因となることがあります。

膀胱や腸のケア

  1. 一日最低6〜8杯の水、カフェインや炭酸を含まない飲み物を摂取することで、膀胱内の尿濃度を下げ、水分補給を促し、便秘を防ぎます。
  2. 夜間にトイレが近くならないよう、午後7時以降は水分を控えましょう。但し、朝は十分な水分補給の為にたくさん水を飲みましょう。
  3. 衛生管理。陰部を清潔に保つために1日一回は石鹸で洗いましょう。排尿、排便後は前から後ろに拭くように気をつけましょう。
  4. 食物繊維を多く含む食事や水分補給、腸の働きを正常に保つために食後に散歩をしましょう。トイレに座っているときは、足が床についていること。床に足が届かない場合は足台などを利用し、太ももがお尻に対して30度の角度になるようにサポートしましょう。
  5. 尿や便に血が混じっている、 尿意・便意があるにも関わらずなかなか排尿・排便できない、スッキリ排便してきれいに拭いたにも関わらず便が漏れるなど膀胱や腸に違和感や異変があれば、かかりつけの医師に相談しましょう。
  6. ケーゲル体操と呼ばれる骨盤底筋を強化する運動をしましょう。殆どの骨盤底筋理学療法士は個人事業なので料金がかかります。また排泄ケア・アドバイザー看護師「nurse continence advisor ナース・コンチネンス・アドバイザー(NCA)」もこの体操の指導をすることができます。
  7. かかりつけの医師または専門医(泌尿器科、胃腸科、老年科、神経科)にナース・コンチネンス・アドバイザー(NCA)へ紹介してもらえるかどうかを相談しましょう。NCAはオンタリオ州ハミルトン市に所在するマクマスター大学のコンチネンス・ケアの専門資格を持つ正看護師です。NCAは以下の施設やいくつかの個人クリニックに在籍しています。

 

  • バンクーバー・コースタル・ヘルス保健局(UBC Bladder Care Centre UBC 膀胱ケアセンター)
  • プロビデンス・ヘルス保健局(Mount Saint Joseph Hospital マウント・セント・ジョセフ病院および Paul’s Hospital セントポール病院)
  • フレーザー・ヘルス保健局
    • New Westminster Specialized Seniors Clinic ニューウェストミンスター・シニア専門クリニックのContinence Clinic コンチネンス・クリニック
    • White Rock Specialized Seniors Clinic ホワイトロック・シニア専門クリニック
    • Jim Pattison Out-Patient and Surgical Centre ジムパティソン外来・外科センターのUrology Clinic 泌尿器クリニック
    • アボッツフォード病院のUrology Clinic 泌尿器クリニック)
  • バンクーバーアイランド(Seniors’Outreach シニア・アウトリーチ)
  • インテリア・ヘルス保健局(Kelowna General Hospital ケローナジェネラル病院のSeniors’Clinic シニアクリニック)

膀胱や腸の排泄機能をコントロールすることは可能です。ナース・コンチネンス・アドバイザーによる講演をご希望される方は、日系シニアズ・ヘルスケア&住宅協会までお知らせください。

 


執筆 高齢者ケア専門臨床看護師 (RN, BN, MS, GNC(C), NCA) マーシャ・カー

和訳 博美・プラッツ

この記事は月報2018年7月号より抜粋されたものです。

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